福岡地方裁判所 昭和58年(わ)1748号 判決 1984年2月06日
本店の所在地
福岡県北九州市若松区今光一丁目九番六号
法人の名称
平川工業株式会社
代表者の住居
愛知県名古屋市瑞穂区密柑山町一丁目五〇番地の二
代表者の氏名
平川利光
本籍
福岡県北九州市若松区今光一丁目一一番地の六
住居
愛知県名古屋市瑞穂区密柑山町一丁目五〇番地の二
会社役員
平川利光
昭和一一年八月二一日生
右平川工業株式会社及び平川利光に対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官津野正文出席のうえ審理をし、次のとおり判決する。
主文
被告人平川利光を懲役一年六月に、被告会社平川工業株式会社を罰金二、五〇〇万円に、各処する。
被告人平川利光に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人平川工業株式会社は、福岡県北九州市若松区今光一丁目九番六号に本店を置き、製鑵機械製作組立据付工事業等を目的とする資本金四、〇〇〇、〇〇〇円の株式会社であり、被告人平川利光は、被告人会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、被告人平川利光は、被告人会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、完成工事原価のうち外注費の一部を架空に計上して、簿外預金を蓄積する等の方法により所得を秘匿したうえ、
第一 昭和五五年四月二六日から同五六年四月二五日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が二〇九、四九八、三二八円あったのにかかわらず、昭和五六年七月二五日、同市若松区白山一丁目二番三号所在の所轄若松税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が四四、三〇六、七四七円でこれに対する法人税額が一七、二三三、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額八六、六一四、一〇〇円と右申告税額との差額六九、三八〇、六〇〇円を免れ、
第二 昭和五六年四月二六日から同五七年四月二五日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一一三、六五八、三三七円あったのにかかわらず、同五七年七月二四日、前記若松税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五六、五九九、七四八円でこれに対する法人税額が二二、三五九、〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告人会社の右事業年度における正規の法人税額四六、三二三、八〇〇円と右申告税額との差額二三、九六四、八〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示全部の事実につき
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官及び大蔵事務官(八通)に対する各供述調書
一 大和信子の検察官に対する供述調書
一 大和謙次(六通)、大和信子(六通)、大和佐次郎(四通)、三宅正夫の大蔵事務官に対する各供述調書
一 大蔵事務官作成の査察調査書九通(検8 12 17 18 19 21 22 23 25号)
一 検察官作成の報告書
一 被告人ら作成の上申書八通(検9 10 11 13 14 15 16 20号)
一 登記官作成の登記簿謄本
判示第一の事実につき
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(検3号)及びその説明資料(検4号)
一 押収してある法人税確定申告書一綴(昭和五九年押第二七号の一)
判示第二の事実につき
一 大蔵事務官作成の脱税額計算書(検5号)及びその説明資料(検6号)
一 押収してある法人税確定申告書一綴(前同押号の二)
一 大蔵事務官作成の査察官調査書(検24号)
(法令の適用)
被告人平川利光につき
罰条 いずれも法人税法一五九条一項(いずれも懲役刑選択)
併合罪の処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に加重)
執行猶予 刑法二五条一項
被告会社につき
罰条 いずれも法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項
併合罪の処理 刑法四五条、四八条二項
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 池田耕平)